スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

2015-07-01から1ヶ月間の記事一覧

クライン‐ゴルドン演算子のグリーン関数の導出

「それでは、具体的にを計算してみます」 (2.59) 「のとき、についての積分で積分経路を下から近づけることによって、(2.54)式を導いたのと同様の手順で、(2.50)式のを得ることができます」 (2.50) 「一方、のときは、についての積分で積分経路を上から近づ…

ファインマン処方を導入する理由

「ところで、そもそもなんでファインマン処方なんてものを導入したのよ?」 一宮がじろりと越野さんを睨み付けた。 「え? ファインマン処方を導入した理由ですか? そうですね……ファンマン処方がない場合、下図のように実軸上に極が位置するため、積分経路…

ファインマン処方の極の計算

(2.59) 「それじゃ、実際に上式の極を計算で確かめてみましょう。極は、上式の分母がゼロとなる条件から求めることができます」 「ここで、4元運動量の内積の定義を用いると、は次のように変形することができます」 4元運動量の内積 「それゆえ、極を求め…

ファインマン処方とは

「第4章では、極を別のやり方で処方することがとても有用です。このような処方は、ファインマン処方(Feynman prescription)と呼ばれます」 「ファインマン処方? ちょっと! このテキストには、『Feynman(ファインマン)』じゃなくて、『Feynmarc(ファイ…

p0積分の積分経路の4つのパターン

「次に、上式をについて変形すると、次のようになります」 「このようにして得られたの式をフーリエ変換すると、次の(2.58)式が得られます」 (2.58) 「(2.58)式の積分は、4つの異なる積分経路によって評価されます。それら4つの積分経路のうち、(2.54)式で…

クライン‐ゴルドン演算子のグリーン関数の運動量表示の関係式の導出

(2.54) 「ところで、以前求めた上の(2.54)式ですが、これはフーリエ変換によって導くこともできます。クライン‐ゴルドン演算子のグリーン関数の運動量空間における表示をフーリエ変換したものをとすると、次の(2.57)式のようになります」 (2.57) 「ここで、…

クライン‐ゴルドン演算子の遅延グリーン関数

(2.55) (2.56) 「ところで、は、『クライン‐ゴルドン演算子のグリーン関数(Green function)』と呼ばれる関数です。上の(2.55)式において、が階段関数(で1、で0となる関数)で表されていることからも分かるように、は、でゼロとなるため、これは『遅延グリ…

クライン‐ゴルドン場の交換関係の変形5

「次に、下の式の交換関係を計算してみましょう」 「ここで、下の(2.20)式から、交換関係が成り立ちますが、交換関係の左右の項を入れ替えると符号が入れ替わります」 (2.20) 「上式においてとを入れ替えても一般性は失われず、また、デルタ関数の原点に関す…

デルタ関数の微分計算の一例

「デルタ関数を試験関数とセットで取り扱うことによって、デルタ関数の微分の問題を、試験関数の微分の問題にすり替えることができます」 「ほんとにそんな小手先のテクニックで、デルタ関数の微分を計算できるの?」 胡散臭そうな目で一宮がいった。「そう…

デルタ関数の微分を計算する方法

「それで、超関数を使ってどうやってデルタ関数の微分を計算するのよ?」 一宮は胡散臭そうな目をしながら越野さんに訊ねた。 「デルタ関数の微分を計算するには、次のような超関数を考えます」 「ここで、微分の公式からがいえるので、これをからまで積分す…

超関数とは

「ここで、上式の1行目の右辺第1項の括弧()内を計算するため、デルタ関数の微分を計算する必要があります」 「デルタ関数の微分?」 一宮は腑に落ちないような顔をして首を傾げた。 「でも、それってちょっとおかしくない。デルタ関数は下図のように、と…

クライン‐ゴルドン場の交換関係の変形4

「ここで、上の3行目の式は、の形を有するため、クライン‐ゴルドン方程式の関係からゼロになることがわかります」 クライン‐ゴルドン方程式 (2.7) 「それゆえ、は次のようになります」 「また、階段関数を微分するとデルタ関数になります」 階段関数の微分→…

クライン‐ゴルドン場の交換関係の変形3

(2.55) 「ここで、(2.55)式の量を理解するために、を計算してみましょう。ちなみに、この計算は、に(2.7)式のクライン‐ゴルドン方程式の演算子を作用させるのと同じ計算です」 クライン‐ゴルドン方程式 (2.7) 「最初に、(2.55)式に基づいて、を計算してみま…

クライン‐ゴルドン場の交換関係の変形2

「一方、の場合は、全体の積分経路Cは、下図のように反時計回りになります」「このとき、積分経路Cは、極値を内部に含まないため、積分の値はゼロになります」 (2.54) 「それゆえ、(2.54)式の最後の行は、極のまわりを回る積分を表すとともに、のように表す…

留数定理による複素積分の計算

「次に、積分の被積分関数をとして、実際に、留数を求めてみましょう」 被積分関数 「は1位の極なので、留数は次の関係から求めることができます」 「として、上の関係式から留数を求めてみます」 「したがって、留数定理からの積分を求めることができます…

複素平面上の回転

(2.54) 「ここで、複素平面上において、下図のようにの極を回避するような積分経路を考え、この積分経路に沿って積分変数の積分を行います」「の場合、下図に示されるように、下方から半円を描くように近づく閉じた積分経路Cが考えられ、この積分経路C内に2…

クライン‐ゴルドン場の交換関係の変形1

クライン‐ゴルドンプロパゲーター「次に、クライン‐ゴルドン場の交換関係についてもう少し調べてみることにします。この交換関係は数(古典的な数(classical number)。普通の数と考えるといいです)であるため、と書くことができます。なぜなら、を数とす…

超光速の粒子と反粒子の関係

(2.52) (2.53) 「ここで、第1項は、からへの粒子(または反粒子)の伝搬を表し、第2項は、からへの反粒子(または粒子)の伝搬を表すことは、前回お話しました」 :からへの粒子(または反粒子)の伝搬を表す :からへの反粒子(または粒子)の伝搬を表す …

超光速の粒子に働く超光速の相関

「それで、結局のところ、超光速の粒子は存在するの?」 一宮が訊ねる。 「クライン‐ゴルドン場の理論によれば、超光速の粒子は存在することになります」 「ほんとなの?」 予想外の言葉に意表をつかれたように、一宮は押し黙った。 「本当です。実際、超光…

複素クライン‐ゴルドン場の伝搬振幅の物理的意味

「第2.1節の終わりで示唆したように、クライン‐ゴルドン理論において、因果律が保たれることが分かりました。しかしながら、このメカニズムを適切に理解するために、粒子と反粒子の区別ができる複素クライン‐ゴルドン場(complex Klien-Gordon field)を含む…

光速より遅い時間的領域の因果律

「次に、光速よりも遅い時間的領域の因果律について考えてみます」「の時間的領域内においては、点を始点として、点から点に連続的に回転することができません。なぜなら、点を始点として、から点まで回転するには、上図に示すように、光円錐の外側の空間的…

超光速の空間的領域の因果律

(2.53) 「ここで、上の計算結果に基づいて、超光速の空間的領域の因果律について検討してみましょう。図2.4に示されるように、のとき、すなわち超光速の空間的領域内においては、(各項は独立にローレンツ不変であるため)第2項にとなるローレンツ変換を実…