「上の関係を用いることによって、次の関係式を導くことができます」 (2.46) 「ちょっと! どうしてそんな関係式が成り立つのよ?」 一宮が理解できないといった風に、頭をかきむしった。 「上の計算には、少し飛躍があるかもしれませんね。でも、(2.46)式は…
「ところで、およびの時間依存性は、生成・消滅演算子の観点からより深く理解することができます。例えば、(2.32)式およびの関係から、ハミルトニアンと消滅演算子との間には、次の関係が成り立ちます」 (2.32) 「それゆえ、任意のnに対して、は次のようにな…
「以上の結果をまとめると、次のようになります」 「次に、の式の2階微分を行うことによって、これらの2つの式を組み合わせてみましょう」 「これから、次の(2.45)式を導くことができます」 (2.45) 「これはまさしく、クライン-ゴルドン方程式となっていま…
「クライン‐ゴルドン場の時間依存性と同様に、運動量密度 の時間依存性も、Heisenbergの運動方程式から同様に計算できます」 (2.44) 「ここで、上式の右辺の交換子の右側の第1項に着目すると、の形を持ちますが、交換子の公式および(2.20)式から、次のよう…
(2.44) 「Heisenbergの運動方程式に(2.8)式のハミルトニアンHを代入すると、およびの時間依存性を計算することができます」 (2.8) 「ここで、上式の右辺の交換子の右側の第3項に着目すると、の形を持ちますが、交換子の公式および(2.20)式から、次のように0…
2.4 時空内のクライン-ゴルドン場「前の節では、Schrodinger描像のクライン-ゴルドン場を量子化し、結果として生じた理論を相対論的粒子の観点から解釈しました。この節では、Heisenberg描像に切り換えて考えることにします」 「どうしてHeisenberg描像で考…
(2.41) 「非相対論的な場合と同様の解釈を突き進めると、演算子が真空に作用すると、位置xに粒子が生成されるものとみなすこともできます」 真空に演算子が作用する → 位置xに粒子が生成される 「この解釈はさらに、(2.35)式を用いて、以下の計算をすること…
(2.40) 「(2.40)式の積分は、f(p)がローレンツ不変なら、もローレンツ不変になるという意味において、ローレンツ不変の3元運動量の積分です。この積分は、図2.2に示されるように、4元運動量空間における双曲面の分枝上にあるものと考えられます」 図2.2 ロ…
「以上述べたローレンツ不変規格化においては、他の場所においてで割る必要があります。例えば、1粒子状態の完備関係式は、次のようになります」 (2.39) 「(2.39)式において、左辺の演算子は、1粒子状態の部分空間内の恒等演算子であり、ヒルベルト空間の…
「前回お話したように、ローレンツ変換は、量子状態のヒルベルト空間において、ユニタリ演算子として実行されます」 (2.35) 「また、規格化条件(2.35)式には、次のような意味があります」 (2.37) 「上式は、状態に、ユニタリ演算子を作用させた結果、ローレ…
「ローレンツブーストのもとでは、一般に、体積が不変ではありません。例えば、静止座標において、体積Vの箱をローレンツブーストすると、ブーストされた座標では、ローレンツ収縮によって、箱の体積は ()になることが知られています」 体積Vの箱 ↓ ローレ…
「ところで、ローレンツ変換は、量子状態のヒルベルト空間において、ユニタリ演算子として実行されます」「ヒルベルト空間?」 一宮が首を傾げた。 「私たちの住む現実世界の空間は、3次元ユークリッド空間(Euclidean space)であると考えられています。こ…
「ここで、ある慣性系Aから見て、別の慣性系Bが方向に-Vの速さで進む場合を想定します。このとき、 とすると、ローレンツブーストにより、運動量とエネルギーは、次のように変換されることが一般的に知られています」 「ここで、デルタ関数のローレンツブー…
「次に、規格化について考えてみます」 「規格化って何よ?」 一宮が口を尖らせた。 「『規格化(normalization)』というのは、ベクトルに適当な定数をかけて、ベクトルの長さ(『ノルム(norm)』と呼びます)を1にする操作をいいます」 『規格化(normal…
「エネルギーは1粒子のエネルギーを表すものと考えられるため、今後はを(または、単にE)と書くことにします。ここで、エネルギーが常に正:となることに注意してください。この形式により、粒子の統計を決定することが可能になります」 「粒子の統計?」 …
「生成演算子は、真空状態に作用して、運動量およびエネルギーをもった状態を生成します。この状態にさらに生成演算子等を作用させると、運動量およびエネルギーをもった状態を生成します。以上をまとめると、下のようになります」 :真空状態 ↓生成演算子を…
「ここで、上式右辺の第1項および第4項は、pの符号を入れ替えたとき、それぞれおよびとなり、全体として符号がプラスからマイナスに入れ替わります。それゆえ、これらはpについて奇関数なので、からのpの積分において消去されます。したがって、右辺の第2…
「ここで、全運動量演算子の各項を、指数関数をかけた項に展開すると、次のようになります」 「また、などの積分変数の置換によって、各項のまたはの符号を適宜変換すると、次のようになります」 「上式をxについて積分すると、デルタ関数が現れます」 「次…
「ここで、調和振動子についてしたように、この理論のスペクトルを書くことができます。すべてのpに対して、となる状態は、基底状態または真空状態であり、(2.31)式の無限大の定数を省略すると、エネルギーE=0となります。他のすべてのエネルギー固有状態は…
「およびについて表現したハミルトニアンを用いると、交換関係およびの評価が簡単になります」 (2.31) 「ここで、(2.31)式を用いて、交換子を計算してみます」 「2行目から3行目への式変形において、(2.29)式から、となることを用いました」 (2.29) 「また、…
「ここで、クライン−ゴルドン場のハミルトニアンについて考察してみます」 (2.31) 「(2.31)式3行目の右辺第2項は、下の(2.29)式の関係からデルタ関数の原点における値に等しいことがわかります」 (2.29) 「ディラックによれば、デルタ関数は、のときであり…
「ここで、下のデルタ関数の関係式から、例えばのxについての積分は、に等しくなることがわかる」 「そこで、上の関係式を用いて、各項のxについての積分をデルタ関数に置き換えてやると、次のようになる」 「次に、の積分を実行すると、次のようになる」 「…
「生成・消滅演算子のにマイナスの符号がついたそもそもの経緯は、(2.25)式および(2.26)式を、(2.27)式および(2.28)式に置き換えたためだ」 (2.25) (2.26) (2.27) (2.28) 「だから、マイナスの符号をプラスの符号に戻すには、上の変換の逆変換をすればいい」…
今まで武者さんの存在をすっかり忘れていた。俺は、彼女のステルス能力に再び戦慄した。 イージス艦の強力なレーダー網でも、彼女の存在を探知するのは困難に違いない。 「原点に戻るって、どういうことなの? 大和?」 一宮が問いかけると、武者さんは、読…
「この生成・消滅演算子の式を用いて、を計算してみます」 「ここで、の関係を用いました」 ここまで来て、越野さんは、計算式を書いていた手を止めて、ほとほと困ったような顔をした。 「あれ、おかしいですね。の関係式が成り立つかどうか確かめてみたかっ…
(2.31) 「クライン−ゴルドン場のハミルトニアンの簡潔な式を導くのに、などの関係が成り立つものと仮定しました」「ちょっと。どうしてそんな関係が成り立つのよ? 納得いかないわね」 一宮の問いかけに、越野さんはしばしの間、考え込んだ。 「それでは、上…
「ここで、などの関係が成り立つものと仮定すると、クライン−ゴルドン場のハミルトニアンは次のようになります」 「また、交換関係から、上式にを代入すると、上式は次のようになります」 「したがって、(2.8)式のハミルトニアンは結局、次のようになります」…
「ここで、変数xについて積分してみます。変数xは、にのみ含まれ、これはデルタ関数になります」 「デルタ関数は、のとき、1となり、のとき0となる関数です。それゆえ、上で求めたハミルトニアンのについての積分は、、すなわち、の場合のみ残り、それ意外は…
「次に、クライン−ゴルドン場のハミルトニアンを生成・消滅演算子で表わしてみます。具体的な方針としては、(2.8)式のハミルトニアンに、(2.27)および(2.28)式を代入します」 (2.8) (2.27) (2.28) 「ここで、(2.8)式の右辺の第1項は、次のようになります」 …
「次に、の交換関係が次のようになるものと定義します」 (2.29) 「すると、交換関係の右辺の角括弧([ ])内は次のようになります」 「このとき、交換関係は、次のように書くことができます」 「1行目から2行目で、どうしてが無くなっているのよ?」 一宮が…