スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

クライン−ゴルドン場の交換関係の導出

「次に、(2.27)式および(2.28)式から、クライン−ゴルドン場の交換関係を計算してみます」 (2.27) (2.28) 「ここで、右辺の角括弧([ ])の中を計算してみます。生成演算子と消滅演算子の順序を入れ替えることができないことに注意して式を変形していきます。…

クライン-ゴルドン場とその運動量密度の生成・消滅演算子による表現

「これまで説明したのと同じテクニックを用いて、クライン-ゴルドンハミルトニアンのスペクトルを導くことができますが、ここでは、場の各フーリエモードは、それ自体、生成演算子と消滅演算子をもった独立な振動子として扱います。ここで、(2.23)式との類似…

n粒子状態のエネルギー

「次に、交換子を計算してみます」 「ここで、最後の式において、(2.24)式の関係を用いました」 (2.24) 「また、交換子についても同様に計算します」 「以上の計算から、次の関係が得られました」 「ここで、n粒子状態を考えてみます。これは、真空状態にn回…

零点エネルギーとは

「正準交換関係は、(2.20)の関係からとなることがわかります」 (2.20) 「一方、の関係を使って、正準交換関係を計算してみます」 「これから、となって、次の(2.24)式の関係が得られます」 (2.24) 「次に、式(2.23)を代入してハミルトニアンを計算してみます…

昇降演算子とは

「単振動のハミルトニアン(エネルギーに相当)は、次のようになることが知られています」 「『SHO』って何よ?」 「『SHO』は、『Simple Harmonic Oscillator(調和振動子)』の略です。ここで、ハミルトニアンの固有値を見つけるため、場と運動量を次のよ…

調和振動子とは

「古典的なクライン−ゴルドン場の方程式は、次のようになります」 (2.21) 「この式は、周波数の調和振動子(バネ)の方程式と同じものです」 (2.22) 「調和振動子って何よ?」 一宮が訊ねた。 「振動子(oscillator)というのは、おもりのついたバネのように…

古典的なクライン−ゴルドン場の方程式の導出

クライン−ゴルドン方程式 (2.7) 「ここで、(2.7)式に前回導いた古典的なクライン−ゴルドン場の式を代入します」 「すると、(2.7)式のクライン−ゴルドン方程式は次のようになります」 (2.21) 「これは、古典的なクライン−ゴルドン場の方程式です」 「ちょっと…

複素数が実数となるための必要十分条件

「古典的なクライン−ゴルドン場は、次のようにフーリエ級数で表すことができることを前回お話しました」 「ここで、が実数となるように、ととることにします」 「なんでだと、が実数となるのよ?」 一宮が訊ねる。 「a, bを実数とすると、複素数zは、z=a+ib…

スペクトルとは

「次の課題は、ハミルトニアンからスペクトルを見出すことです」 「スペクトルって何よ?」 「スペクトルというのは、振動や波動現象において、ある物理量の時間的・空間的な変動を、sin関数などの基本的な振動成分に分解したとき、その各成分の強さをいいま…

Heisenberg描像とは

「一方、期待値は、時間tに依存しない状態ベクトルと、時間tに依存する演算子を用いて表わすこともできます」 「このように、系の状態を固定して、物理量を表す演算子が時間とともに変化するという運動の記述法をHeisenberg描像(Heisenberg picture)と呼び…

Schrodinger描像とは

(2.20) 「ここで、当面の間は、場と運動量密度が時間に依存するSchrodinger描像に従うものとします。次の節では、Heisenberg描像に切り替えたとき、両方の演算子が同時刻という条件で、これら『同時刻』交換関係が成り立ちます。また、場と運動量密度の関数…

自由度とは

「前回、正準交換関係は下のようになることを以前お話しました。ここでは、自然単位系を用いているので、プランク定数となっていることに注意してください」 「この式では、クロネッカーのデルタが用いられていますが、これはが同一(の場合)にのみとなって…

正準交換関係とは

「このテキストでは、(が古典場である)古典的な方程式から始め、一度の手続でそれを量子化します。ここで、古典的なクライン−ゴルドン方程式を量子化するため、場と運動量密度を演算子として取り扱い、適切な交換関係を課します。1以上の粒子の離散的な系…

第2量子化とは

「実クライン−ゴルドン場の古典論については、前節で簡単に(テキストによれば、あれで十分だそうですが)説明しました。関連する式は、(2.6), (2.7)および(2.8)です」 (2.6) クライン−ゴルドン方程式 (2.7) (2.8) 「ここで、古典的なクライン−ゴルドン方程…

量子化とは

「2.3節では、最も簡単な場である実クライン−ゴルドン場のかなり形式的な扱いで量子場の理論の説明を始めたいと思います。考え方としては、古典場の理論(ラグランジアン(2.6)に支配される古典的なスカラー場の理論)で始めて、次にそれを『量子化』して、力…

次元解析とは

「次元解析?」 武者さんは頷いた。 「1つの物理量は、長さ・時間・質量といった基本的な物理量の単位を組み合わせて表現することができる。例えば、質量M、長さL、時間Tとすれば、エネルギーの次元は、と表される。一方、運動量の次元は、と表され、エネル…

エネルギー・運動量テンソルからクライン−ゴルドン場のハミルトニアンの導出

「エネルギー・運動量テンソルのうち、時間変換に関係した保存チャージは、ハミルトニアンとなります」 (2.18) 「また、エネルギー・運動量テンソルは、(2.17)式のように書けます」 (2.17) 「(2.17)式にを代入すると、(2.18)式が次のようになることは、以前…

エネルギー運動量成分の0i成分

「次は、について考えてみます」 (2.17) 「と同じように、上の(2.17)式にを代入して、を計算してみます」 「前回と同様に、4元ベクトルの微分演算子を次のように定義します」 「ここで、大括弧内の各成分はそれぞれ、の成分を表します。これから、となるこ…

エネルギー・運動量テンソルの00成分

(2.17) :エネルギー密度 :エネルギー流束の第成分() :運動量の第成分の密度() :運動量の第成分の流束の第成分 「エネルギー・運動量テンソルのうち、時間変換に関係した保存チャージは、ハミルトニアンとなります」 (2.18) 「(2.18)式が本当に成り立…

エネルギー・運動量テンソルとは

(2.17) 「は、場のエネルギー・運動量テンソル(stress-energy tensor、energy-momentum tensor)と呼ばれ、エネルギー・運動量の流れや密度を表すテンソルです」 エネルギー・運動量テンソル(stress-energy tensor、energy-momentum tensor): エネルギー…

エネルギー・運動量テンソルの導出

「ここで、ラグランジアンの無限小の平行移動の式と、以前求めたラグランジアンの変換式(2.10)とを比較してみます」 (2.10) 「このとき、となって、がゼロでないことが分かります。ここで、場の無限小の平行移動の式を(2.9)式と比較します」 (2.9) 「これか…

クロネッカーのデルタを用いた添字の変換

「無限小の平行移動によるラグランジアンの変換も、場と同じように書くことができます」 「ちょっと待ってよ! なんでいきなりが湧いてくるのよ!」 一宮が怒り心頭といった感じで叫び声をあげた。 お前な、ちょっとした式変形につまづくたびに、いちいちそ…

無限小の平行移動

「ネーターの定理は、平行移動や回転のような時空間の変換にも適用することができます。無限小の平行移動は次のように書けます」 「上式は、4次元時空間上の位置座標から無限小の距離だけ移動することを意味します。また、無限小の平行移動は、場の変換とし…

複素スカラー場のネーターカレントの導出

「次に、複素スカラー場のネーターカレントを導いてみます」 (2.15) 「ここで、およびは独立な場として扱います。また、これらはの実数および虚数部分と扱うこともできます。この場合、以前求めた(2.12)式において、の項の他に、の項も考える必要があります…

テイラー展開の直観的なイメージ

「教科書みたいな天下りの説明はもうたくさんだわ! そもそもどうして、テイラー展開やマクローリン展開みたいな関係が成り立つのよ?」 テイラー展開(Taylor expansion) マクローリン展開(Maclaurin expansion) 「それは難しい質問ですね……」 一宮の質…

テイラー展開とは

「次に、変換のもとで複素スカラー場のラグランジアンが不変の場合を考えてみます」 (2.14) 「以前、場の無限小の変換は次のような形に書けることをお話しました」 (2.9) 「ここで、この(2.9)式と変換を比較すると、(2.9)式の右辺の第2項は次のようになりま…

複素スカラー場のラグランジアン

「もう1つのマイナーな例としては、次のようなラグランジアンを考えてみます」 (2.14) 「ここで、は、複素数値の場です。このラグランジアンの運動方程式をオイラー・ラグランジュ方程式から求めてみます」 オイラー・ラグランジュ方程式(場の方程式) (2.…

運動項のみのラグランジアンから生じる保存則

ネーターの定理(Noether's theorem) 系に連続的な対称性が存在するとき、それに対応する保存則が存在する 「ネーターの定理によって生じる保存則の一番簡単な例は、ラグランジアンが運動項のみを有する場合です」 「運動項って……なんだったかしら?」 一宮…

ネーターの定理とは

「このように、系に連続的な対称性が1つ存在するとき、それに対応する保存則が1つ存在します。これをネーターの定理(Noether's theorem)と呼びます」 ネーターの定理(Noether's theorem) 系に連続的な対称性が存在するとき、それに対応する保存則が存…

ネーターカレントとは

(2.12) 「上の結果は、の微分がゼロ、すなわち、ネーターカレント(電流)が保存されることを意味しています。また、2以上の場に対称性が存在する場合は、の第1項は、それぞれの場に対する同様の項の和の形に置き換えられます」「ネーターカレントって、な…